奈良、京都、鎌倉。日本の古都を散歩するコラムサイト

RSS

海蔵寺の萩 紫色の優美な瀧

鎌倉の萩の名所は?

海蔵寺の萩

(写真:海蔵寺の萩)

この写真は、テレビ東京の『火曜エンターテイメント』という番組で使っていただいたことがあります。

テレビにこの写真が映った瞬間の、キラキラキラッという効果音が印象的でした(笑)。

最近は、異常気象のせいか、9月に入っても暑い日が続きますが、9月も中旬を過ぎると、ようやく朝夕は涼しくなってきます。

秋の始まりのこの季節に、あちこちで花を咲かせるのが、萩の花。

鎌倉で「萩寺」といえば、一般には、鶴岡八幡宮そばの宝戒寺(ほうかいじ)を指し、珍しい白萩が境内一杯に咲きますが、私は、海蔵寺の萩のほうが好きですね。

山門に向かう石段の両脇に滴り落ちるように咲く萩。その咲き乱れる様子は、あたかも紫色の優美な瀧(たき)のようです。

朝一番に出かけ、まだ誰もいないこの空間を独り占めできることの、なんと贅沢なことか。

「底脱の井」と「十六の井」

海蔵寺はその名の通り、境内に池や井戸など豊富な水を湛えており、石段をおりた右手には、鎌倉十井のひとつ「底脱の井」があります。

鎌倉十井というのは、江戸時代に、海辺で良水の少ない鎌倉で、質の良い水の湧く井戸を10個選んだもの。

この「底脱の井」の名前の由来となった、こんな話があります。

昔、鎌倉幕府の御家人の安達泰盛の娘、千代能(ちよのう)が参禅した折、この井戸の水を汲むと桶の底が抜けてしまった。

この時、心の中にあった煩悩が氷解し、悟りの境地に達した

 千代能が いただく桶の 底ぬけて 水たまらねば 月もやどらじ

という話です。

この話は、悟りや閃きというのは、ふとしたことが切っ掛けで訪れるということを象徴的に伝える話なのだろうと思います。

十六の井

(写真:十六の井)

さらにもう一つ、海蔵寺で必見なのが「十六の井」と呼ばれる不思議な井戸。

岩壁に掘られた横穴の中に、縦横四列づつ十六の穴が並び、滾々(こんこん)と湧く清水を湛えます。

そもそも、これは井戸なのか、誰が掘ったものなのか含め、詳しいことは分からないということです。

↑ PAGE TOP