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鎌倉屈指の仏像、円応寺の「笑い閻魔」

「笑い閻魔」とは、どんな仏像?

円応寺の「笑い閻魔」

(写真:円応寺の「笑い閻魔」)

円応寺は、北鎌倉駅から徒歩15分ほど、鎌倉五山第一位の建長寺と県道をはさんで反対側にある小さなお寺です。

この円応寺のご本尊は、鎌倉時代の大仏師・運慶の作と伝わる「閻魔大王座像」(国重文)。「笑い閻魔」の別名で親しまれています。

この「笑い閻魔」という名前は、次のような運慶の冥界からの蘇りの物語に由来します。

病気で瀕死の状態になった運慶は、閻魔大王の前に引き出されます。大王は運慶に次のようにいいます。

「おまえは彫刻が上手だから、人々が悪事をはたらかぬよう、現世に戻り、わしの恐ろしい姿を彫刻して見せてやれ」

つまり、閻魔大王の恐ろしい顔を見れば、人々が恐れ、罪を犯さなくなるだろう。お前を生き返らせてやるから、ワシの恐ろしい姿を彫って仏像にしろというわけです。

ところが、現世に戻ることができた運慶は、大喜びしてしまいます。そして、笑いながら彫刻したので、彫り上がった閻魔大王像は、どことなく笑っているような表情になってしまったというのです。

円応寺本堂

(写真:円応寺本堂)

このほか、その昔、閻魔堂は海のそばにあり、津波のときに、波にさらわれた子供たちを閻魔像が舌をのばして救ったという話も伝わり、子供を守り育てる「子育て閻魔」という別名もあります。

本堂には、閻魔大王像のほか、亡者が冥界で出会う「十王」がまつられています。十王像のうち、鎌倉彫刻の優品として名高い初江王座像(しょこうおうざぞう・国重文)は、鎌倉国宝館に寄託中です。

閻魔大王の苦しみ

取材時にうかがった円応寺の和尚さんの話の中で、一番心に残ったのが以下の話です。

仏教の教えでは、人に苦痛を与えることが、最大の「悪行」だ。

その意味では、閻魔大王も罪人を地獄に落とし、苦しみを与えている。そこで、大王は毎日、地獄へ行く亡者の数に応じて、鍋いっぱいの赤く煮えたぎった鉛を飲み込むという苦行を自らに課している。

人々が悪行を行わなくなれば、閻魔大王も苦しみから開放されるのです。

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