東滴壺(とうてきこ) 極小の宇宙

東滴壺(とうてきこ) 極小の宇宙

撮影場所:龍源院(京都 大徳寺塔頭)
撮影日:2007/5/20
アクセス:京都市バス「大徳寺前」より徒歩約5分
地図:京都観光Navi

洛北の紫野(むらさきの)とよばれる地に、大徳寺という大きな禅寺があります。
このお寺は、説話に出てくる頓智(とんち)で有名な小僧「一休さん」のモデルにもなった、一休宗純(いっきゅうそうじゅん)が住持を務めた寺として知られています。
また、金毛閣(きんもうかく)と呼ばれる大徳寺の山門改修にあたり、千利休が、自身の木像を山門二階に置き、その股下を秀吉に通らせたことで怒りをかい、それが原因で切腹せざるをえなくなったとも言われています。

この大徳寺には、数多くの塔頭(たっちゅう 大寺院の境内にある支院のこと)がありますが、これらの塔頭は、すぐれた禅の庭の宝庫。
深山から流れ出た渓流が大河となって流れ行く様を砂と石組みだけで表した大仙院の石庭なども素晴らしいと思いますが、私が特に感銘を受けたのが、龍源院にある世界最小の石庭といわれる「東滴壺(とうてきこ)」です。

廊下を進んでいくと建物と建物のあいだに、まるで「うっかり」できてしまったような、ほんのせまい空間があり、そこにその庭はあります。

波のない静かな水面に、ポツンと滴った水滴から、しだいに広がっていく波紋。
表現しているのは、ただそれだけのことなのですが、

この水滴が滴ったのは、道端の水たまりなのかな?
それとも、どこかの湖?
もしかしたら、太平洋の真ん中かも。
大河の流れも、最初は、一滴の水の滴りからはじまるんだよね。
いや、無限に広がる宇宙だって、最初はビッグバンから始まったというぞ。

見ているうちに、このせまい4坪の空間に無限の広がりが感じられるようになってくるから不思議です。
小さな空間を、どこまで広げることができるかは、見る者の想像力しだいといったところ。

四畳半の茶室を、芸術の発露の場として自在に操った利休よろしく、想像力を駆使した時間を楽しむのもよし。

もちろん、何も考えずに、陽射しと時が移ろう中で、ボーッと庭を眺めているのもよし。

あれ、いつの間にか、もう夕暮れだ。
今夜は、先斗町(ぽんとちょう)にでも、行ってみようかな。

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